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会長日記

麦秋

湖北地方の転作の田んぼは、まもなく収穫期を迎える麦の穂がきれいな黄色いじゅうたんを作っています。

”麦秋”というのは初夏の季語であり、まさに今の季節を表す言葉と風景です。

1951年(昭和26年)公開の小津安二郎監督、原節子主演の「麦秋」という映画があります。

学生時代に京都の叡電一乗寺駅そばのスーパーの2階にあった名画座「京一会館」で観た初めての小津作品です。あれからもう40年以上たちますが、ラストシーンの風になびく麦畑の風景を思い出します。もちろん、白黒映画ですが、脳裏に鮮やかな黄色が思い浮かぶのがモノクロの想像力を掻き立てるところです。

この映画「麦秋」は28歳の独身の女性(原節子がとんでもなくきれい)を中心としたホームドラマです。劇的なストーリーがあるわけではありませんが、3世代の同居する家族がそれぞれを思いやりながらも、決して自分の理想といえる家族の形にはなれないものの、その人生の移ろいを受け入れていく物語です。DVDで今回見直してみて、70年近く昔の戦後間もない日本人の姿がみえて感動します。

通常、収穫の季節”秋”の次には寒くて暗い冬が来ますが、”麦秋”の初夏は、すぐに明るい夏がやって来る希望の時期と言えるでしょう。

左側は映画のラストの奈良の風景、右側は大浜モデルの近所の麦の田んぼから山本山を見たところ。

よく似ていると思いませんか?

社長